研究内容
研究内容
ケミカルバイオロジーは”化学”と“生命科学”を融合することで、生命現象の謎を分子レベルで「ひもとく」ことを目指した、新しい研究領域です。多岐に渡る化学者・生物学者の叡智を結集し、近年、この分野が目覚ましい発展を遂げています。しかし、様々な生命現象を解明し、制御するための方法は未だに限られており、この状況を打破できる画期的な方法論の開発が強く望まれています。
これに対して、我々は、有機化学における新しい発見や反応・手法に根ざして、ケミカルバイオロジーを大きく進展させる新技術の提供を目指し、日々研究を行っております。例えば、教科書に載っている反応の組み合わせから生み出せる技術では解決できないような事象であっても、未知の有機化合物や反応を新たに開発し、これを利用すれば簡単に解決できる、かもしれません。さらに、生命科学研究を進める手法を有機化学者の観点で解決しようとする中で、有機化学における新しい課題に直面したり、新たな合成ターゲットが生まれてきます。これらを解決するために新手法を提案し、有機化学の新しい側面を切り開くことも目指しています。
こういった研究から生み出される新物質・新技術は、生体内の現象の機構を明らかにし、制御するための新手法となり得ます。その結果、例えば、くすりの作用・副作用の機構が明らかになり、副作用のない新しい医薬品の開発へとつながっていきます。さらに、有機化学において画期的な物質・手法が開発できると、生命科学研究のみならず、様々な分野に革新的な発展をもたらします。新しい技術で生み出すことができる新しい有機化合物は、最近注目を集めている有機太陽電池や有機ELをはじめとして、有機化合物を構成素子とする新素材の開発への応用も期待できます。新たに開発した手法を、共同研究を通して幅広く応用することで、真に実用的な有機化学的手法の開発を指向しています。