2014年 4月から、神戸にある理化学研究所 ライフサイエンス技術基盤研究センター (CLST) 分子標的化学研究チーム のチームリーダーを兼任することになりました。 東京医科歯科大学(TMDU) 生体材料工学研究所(生材研,IBB)生命有機化学分野と理研 CLST 分子標的化学研究チームでは、それぞれの特性を活かして、生命科学研究を革新し得る有機化学に取り組みます。

 細谷グループでは、

真の共同研究を通じて挑戦的な課題に取り組む中で、

元素、官能基、分子、ひいては有機化学の「潜在能力を引き出し」

自分自身を含め、研究に携わる人たちの「潜在能力を引き出す」

ことを目指して、日夜、研究に励んでいます。

 東医歯大 生材研 生命有機化学分野では、引き続き、吉田 助教 を中心として分子や官能基の「歪み(ひずみ)」に焦点を絞った研究を展開します。とくに、学生さんたちのレベルアップを念頭に、アジド基やアルキンなどに関する化学を中心に、多彩な元素の特性を使いこなすことで、「高反応性活性種」に関する化学を深めていきます。また、こういった取り組み方をする中で産み出される、さまざまな人工分子たちは、東医歯大 生材研 医療機能分子開発室が保有する化合物ライブラリーへと積極的に供与し、新たな生物活性分子の探索のための「種まき」を続けていきます。

 新たに組織した、理研 CLST 分子標的化学研究チームは、丹羽 研究員 をはじめ、実力派の若手研究者たちで構成した研究グループです。PET(陽電子放射断層撮像法)などのイメージング研究における革新的な手法の創出を目指し、化学的新手法・新反応の開発に注力します。理研 CLST は、実際に利用できるPETプローブを開発でき、これを用いるイメージングまでを速やかに実現できることが特徴です。現在、こちらの研究チームのホームページを開設する準備中ですので、期待してお待ち下さい。

 生命科学は、医学・薬学といった多岐にわたる分野をも含んだ重要な研究領域です。これを推進するためには様々な手法を必要としますが、その重要性にも関わらず、基礎となる手法がまだまだ不足しており、新手法の開発が今もなお求められています。

 たとえば、スクリーニングの結果、得られてきたヒット化合物を提示されたとき、多数の類縁体をすぐに合成できるでしょうか? グラムスケールですぐに提供できるでしょうか? 構造式を前にして、この位置にメチル基を、この骨格自体をちょっとだけ変えて…、と思いついたとき、すぐに対応できるでしょうか? 生物活性分子やプローブ分子の開発では、こういった課題が山積しています。

 私たちは、長年の連携をもとに育んできた真の共同研究を通じて挑戦的な研究課題に取り組む中、こういった生命科学研究の最前線で未だに解決されていない問題点に直面してきました。 共同研究自体は現在における最適解と考えられる手法で進めていますが、この「有機化学的な課題」こそが最も大事な宝物であると思っています。 これに対して、その基礎となる有機化学を着実に進めていこうと考え、研究に取り組んでいます。そんな中、これまでにも、アジドやアルキンを用いる分子連結の化学および標識化学における基礎的かつ独自の知見をいくつか見つけることができました。今後は、東医歯大 生材研 生命有機化学分野と理研 CLST 分子標的化学研究チーム、それぞれの特徴・ミッションなどを鑑みて、この両輪を上手く回しながら、生命科学研究に資する、独自性高い有機化学を研究していきます。そのために、元素、官能基、分子の潜在能力を引き出し、これまでには発揮できていない有機化学の潜在能力をも引き出したいと考えています。この潜在能力を引き出せるかどうかは「人」にかかっています。どちらの研究チームにおいても、自分自身を含めて、研究に携わる人たちの潜在能力を大きく引き出すことができれば、多岐にわたる挑戦的な課題も解決できると思っています。まだ若い研究グループではありますが、有機化学の潜在能力を引き出す夢を描きながら、自分自身の潜在能力を引き出したい、と願っているスタッフ・学生・研究員 諸氏と一緒に、一丸となって、わくわくするような有機化学を展開していけると確信しています。

2014 年  4 月 1 日   細谷 孝充

11C :  半減期 20 分

18F :  半減期 110 分