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我々の研究グループの論文が
The Journal of Organic Chemistry誌に掲載されました!

芳香族アジド化合物はクリック反応による分子連結や光親和性標識による標的分子同定などに用いられる有用な化合物群です。これまでに我々はアジド基を損なうことなく、C−C、C−B結合形成などのカップリング反応を行うことに成功していますが、ヘテロ原子との結合形成は容易ではなく、一般的な反応条件を適用するだけでは達成が困難でした。これに対して、今回我々は、アジドアニリン類合成のために遷移金属触媒を利用したC−N結合形成について精査し、あらかじめ配位子が導入された触媒前駆体CPhos Pd G4を用いることで、反応温度50 ℃と比較的温和な条件で、アジド基を損なうことなくBuchwald−Hartwigアミノ化が進行することを明らかにしました。本手法により、様々な生物活性アミンを、光親和性標識法に利用可能なジアジド化合物に誘導することや、多成分連結に利用可能なマルチアジドプラットフォーム分子の合成に成功しました。今回の知見をもとに、酸素原子や硫黄原子との結合形成反応の開発も可能になるものと期待しています。

ご一読頂けると幸いです。

https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.joc.1c02251

“Synthesis of Azidoanilines by the Buchwald−Hartwig Amination"

Yuki Sakata, Suguru Yoshida, and Takamitsu Hosoya*

J. Org. Chem. 2021, 86, 15674–15688.in press.

我々の研究グループの論文が
Chemistry Letters誌に掲載されました!

o-ヨードアリールトリフラート類は、アライン前駆体や、クロスカップリング反応の基質として、隣り合った位置に置換基を有するベンゼン類の合成に役立つ有用な合成中間体です。とくに、フェノール類におけるFriedel–Crafts型のヨウ素化反応や、o-ヒドロキシアニリン類を用いたSandmeyer型のヨウ素化反応を経て合成できることから、合成容易なアライン前駆体として、私たちのお気に入りの化合物群でもあります。ただ、以前に報告したアライン前駆体のC–H結合ホウ素化反応 (Chem. Lett. 2015, 44, 1324) においては、o-ヨードアリールトリフラート類を用いた場合にはホウ素化体が全く得られず、高度に官能基化されたo-ヨードアリールトリフラートの合成は未だに容易ではありません。これに対して、今回我々は、o-シリルアリールトリフラート類の脱シリルヨウ素化反応について詳しく検討し、塩化アルミニウムと1,3-ジヨード-5,5-ジメチルヒダントイン(DIH)を用いる条件で、多数の官能基を有するo-ヨードアリールトリフラート類を効率よく合成できることを明らかにしました。とくに、Ir触媒を用いるC–H結合のホウ素化反応を本手法と組み合わせることで、従来法では合成の容易ではないo-ヨードアリールトリフラート類を簡便に合成できました。今後、本手法を利用して合成したビルディングブロックを利用することで、アラインを利用した合成化学などが大きく発展すると期待しています。

ご一読頂けると幸いです。

https://doi.org/10.1246/cl.190223

我々の研究グループの論文が
Organic Letters誌に掲載されました!

有機硫黄化合物は、材料科学や創薬科学などの幅広い分野で注目を集めている重要な化合物群です。しかし、隣り合った位置に置換基を併せ持った芳香族スルフィド類など合成困難な有機硫黄化合物が未だ数多く残されており、これらを簡便合成できる新しい手法が待ち望まれています。これに対して、今回我々は、2種のアラインを経る「アラインリレー法」を利用した、芳香族スルフィド類の効率的合成法の開発に成功しました。本手法により、これまで利用例がほとんどなかった、3位にチオ基を有するアラインの変換を利用した合成化学を切り拓くことができました。広範なアラインの反応相手を利用できることに加え、硫黄の特性を利用した多彩な変換と組み合わせて利用することで 本手法を鍵として幅広い化合物の合成が可能になることから、従来法だけでは合成の難しかった有機硫黄化合物の化学を発展させられると期待しています。

ご一読頂けると幸いです。

https://doi.org/10.1021/acs.orglett.9b01862

プレスリリース

プレスリリース

科学新聞(2019年7月12日)に図入りで掲載されました!

“3-Thioaryne Intermediates for the Synthesis of Diverse Thioarenes”

Y. Nakamura, Y. Miyata, K. Uchida, S. Yoshida,* and T. Hosoya*

Org. Lett. 2019, 21, 5252.

我々の研究グループの論文が
Chemistry Letters誌に掲載されました!

アジドと環状アルキンとのクリック反応は、無触媒で2分子を連結する手法として幅広い分野で注目を集めています。これまでに環状アルキンの構造がアジドとのクリック反応性に与える影響に関しては詳しく調べられてきた一方で、アジドの構造改変による高活性化についての知見はわずかでした。これに対して、以前に我々は、アジド基とベンゼン環との共鳴禁止に関する独自の知見を鍵として、高反応性アジドの開発に取り組んできました(Sci. Rep. 2011, 1, 82; Chem. Commun. 2018, 54, 13499)。今回我々は、実験および計算化学を利用し、アルケニルアジドなどのクリック反応性について精査することで、アジド基のクリック反応性に対する共鳴の影響を明らかにしました。とくに、共役系の長いアジド基の場合にはクリック反応性が低下する一方で、アジド基とアルケンとの共鳴が2つのフェニル基で阻害されるアルケニルアジドの場合には、対応するスチリルアジドよりも著しく高いクリック反応性を示すことを明らかにいたしました。今後、本研究で得られた知見が高活性アジドの開発などに役立つことに加え、共鳴禁止を利用した分子設計などの幅広い応用に繋がることを期待しています。

ご一読頂けると幸いです。

https://doi.org/10.1246/cl.190400

“Effect of Resonance on the Clickability of Alkenyl Azides in the Strain-promoted Cycloaddition with Dibenzo-fused Cyclooctynes”

S.Yoshida,* S. Goto, Y. Nishiyama,Y. Hazama,  M. Kondo, T. Matsushita,

and T. Hosoya*

Chem. Lett. 2019, 48, 1038.

我々の研究グループの論文が
Chemistry Letters誌に掲載されました!

創薬科学などにおいて、アリールシラン類に注目が集まってきているものの、隣り合った位置に置換基を有するアリールシラン類の合成は容易ではありません。これに対して、今回我々は、アラインリレー法の開発で得られた知見をもとに、N-シリルアミンやS-シリルスルフィドが幅広いアラインと効率的に反応し、2,6-二置換アリールシランなどを簡便合成できることを明らかにしましたことを明らかにしました。さらに、N-シリルアミンに代えて、クロロシランとアミンを出発原料とする効率的合成法の開発にも成功しました。医薬品として利用されているアミン類を出発原料とした場合にも、 本手法を利用することで対応するアリールシラン類を合成できたことから、本手法が幅広いアリールシラン合成に役立つと期待しています。

ご一読頂けると幸いです。

https://www.journal.csj.jp/doi/10.1246/cl.190573

我々の研究グループの論文が

European Journal of Organic Chemistry 誌に掲載されました!


薬剤など、生物活性化合物が標的とするタンパク質を探索するために、2種類のアジド基を有する「ジアジドプローブ」を用いる光親和性標識法が有用です。今回私たちは、ジアジドプローブの部品となる様々な合成素子を、炭素–水素結合のアジド基への変換を経ることで、効率よく合成できることを明らかにしました。加えて、2種類のアジド基を損なうことなく、多様性に富んだ連結部位へと変換することにも成功しました。本手法は、取得した生物活性化合物の迅速プローブ化に有用であると期待されます。


ご一読頂けると幸いです。

http://dx.doi.org/10.1002/ejoc.201402516

etc.

我々の研究グループの論文が

Organic & Biomolecular Chemistry 誌に掲載されました!


単純な原料を組み合わせることで、多様性に富んだ化合物群を創製できる有機合成手法は、化合物ライブラリーを効率的に構築するために重要です。今回私たちは、「末端アルキン部位を有するアライン」の発生法を見いだし、これを用いてビス-およびトリストリアゾール合成法の開発に成功しました。この研究において、対応するヨードアリールトリフラートから、酸性度の高い末端アルキン部位を損なわずにアラインを発生させる手法を検討したところ、トリメチルシリルメチルGrignard反応剤が最適な活性化剤であることを明らかにできました。


ご一読頂けると幸いです。

http://dx.doi.org/10.1039/C4OB01654H

“ Modular Synthesis of Bis- and Tris-1,2,3-triazoles by Permutable Sequential Azide–Aryne and Azide–Alkyne Cycloadditions ”

  1. S.Yoshida, T. Nonaka, T. Morita, and T. Hosoya*,

Org. Biomol. Chem. 2014, 12, 7489–7493.

我々の研究グループの論文が

Journal of the American Chemical Society 誌に掲載されました!


銅触媒なしでアジドとのクリック反応を行えるシクロオクチン類は、分子連結におけるきわめて有用なツールです。今回私たちは、銅塩を作用させることでシクロオクチン類をアジドとのクリック反応から保護できることを見いだしました。さらに、この手法を用いると、環状アルキン部位と末端アルキン部位を有するジイン化合物において、環状アルキン部位を選択的に保護でき、末端アルキン部位でのみアジドとの環化付加反応を行えることを明らかにしました。本手法を利用することで、機能性部位を有するアジドを効率よく環状アルキンへと変換できると期待されます。


ご一読頂けると幸いです。

http://dx.doi.org/10.1021/ja507660x

“ Transient Protection of Strained Alkynes from Click Reaction via Complexation with Copper ”

  1. S.Yoshida*, Y. Hatakeyama, K. Johmoto, H. Uekusa, and T. Hosoya*,

J. Am. Chem. Soc. 2014, 136, 13590–13593.

ハイライトされました!

Nature Chemistry

(Research Highlight)

“Two-faced copper”

(C. Hansell)

Nat. Chem. 2014, 6, 946.


Oraganometallic News

クリック反応における銅錯体の新しい利用

(三宅 由寛 先生 (名大院工))

Oraganometallic News 2015, 39.


Organic Chemistry Highlights New

“Organic Functional Group Protection”

(D. F. Taber)

Org. Chem. Highlights 2015, June 8.

我々の研究グループの論文が

Chemical Communications 誌に掲載されました!


アラインは多様性に富んだ化合物群の合成に有用な活性種で、その3位の置換基によって、その反応性や環化付加反応などにおける位置選択性が変化します。今回私たちは、3位に強い電子求引基であるトリフリルオキシ基(OTf)を配したアラインの発生・利用に成功し、その特異な反応性を見いだしました。このとき、トリメチルシリルメチルGrignard反応剤を用いると、3-トリフリルオキシベンザインを用いる環化付加反応が効率よく進行することが明らかになりました。さらに、求核剤が共存すると、アラインへの付加に続いてチア-Fries転位も進行し、通常は合成の容易でないアリールトリフロン類が得られることも見いだしました。

ご一読頂けると幸いです。

http://dx.doi.org/10.1039/C4CC07058E

“ An efficient generation method and remarkable reactivities of 3-triflyloxybenzyne ”

  1. S.Yoshida, K. Uchida, K. Igawa, K. Tomooka, and T. Hosoya*,

Chem. Commun. 2014, 50,  15059–15062.

我々の研究グループの論文が

Organic Letters 誌に掲載されました!


ジベンゾオキサボリン類は、環状ボロン酸ハーフエステルの一つで、反応性や物性に興味が持たれている化合物群ですが、既存の合成法では幅広い誘導体合成には不向きでした。今回、1,8-diaminonaphthalene(dan)で片方のホウ素を保護し、ホウ素選択的な鈴木–宮浦クロスカップリングを行うことで、ジベンゾオキサボリン類を効率よく合成できる方法を開発しました。さらに最近当研究室で開発したホウ素アート錯体を経由する新規ベンザイン発生法など、複数のホウ素を利用した手法と組み合わせることで、抗腫瘍活性天然物gilvocarcin Mのアグリコンであるdefucogilvocarcin Mの高効率合成(7段階、総収率37%)に成功しました。


ご一読頂けると幸いです。

http://dx.doi.org/10.1021/ol5031734


今後、本研究は、隅田博士らを中心に理研CLSTにおいてさらに展開して行く予定です。

“ Boron-Selective Biaryl Coupling Approach to Versatile Dibenzoxa-borins and Application to Concise Synthesis of Defucogilvocarcin M ”

Y. Sumida, R. Harada, T. Kato–Sumida, K. Johmoto, H. Uekusa, and T. Hosoya*,

Org. Lett. 2014, 16, 6240.

我々の研究グループの論文が

Chemistry Letters 誌に掲載されました!   New


アラインは、多様性に富んだ化合物群の合成に有用な活性種です。さまざまなアライン前駆体が知られていますが、なかでも、合成の容易なo-ヨードアリールトリフラートは有用な合成中間体です。今回私たちは、シリルメチルGrignard反応剤が、幅広いo-ヨードアリールトリフラートからアラインを発生させられる活性化剤として有用であることを明らかにしました。とくに、エステル部位などの求電子的な部位があっても、問題なく利用できます。さらに、o-スルフィニルアリールトリフラートからアラインを発生させる際にも利用できました。加えて、o-ヨードアリールトリフラートとo-スルフィニルアリールトリフラートを用いた競争反応において、興味深い選択性も得られました。


ご一読頂けると幸いです。(オープンアクセスですのでどこからでも読めます!)

http://dx.doi.org/10.1246/cl.150060

我々の研究グループの論文が

Chemical Communications 誌に掲載されました!


シクロヘプチンをはじめとする中員環のアルキンは、その高い反応性のため、さまざまな手法で変換できる合成中間体です。今回私たちは、アラインの化学で培った経験をもとに、幅広いシクロヘプチン類を、スルホキシド—マグネシウム交換反応と引き続くβ脱離を経て発生できる、新たな前駆体を設計しました。さらに、これを用いるシクロヘプチン中間体の効率的な発生に成功し、1,3-双極子との環化付加反応により、多彩な縮環型化合物を合成できました。この前駆体は、従来法と比べて簡便に合成できる上、アラインとは区別して利用できることから、多様性に富んだ化合物群の合成に有用であると期待されます。


ご一読頂けると幸いです。

http://dx.doi.org/10.1039/C5CC01784J

ハイライトされました!


Organic Chemistry Highlights New

“Organic Functional Group Protection”

(D. F. Taber)

Org. Chem. Highlights 2015, Oct. 26.

我々の研究グループの論文が

Molecules のアライン化学 特集号 に掲載されました!

Special Issue: Development and Application of Aryne Chemistry in Organic Synthesis


オルト位にシリル基を有するアリールトリフラート類にフッ化物イオンを作用させるだけでアラインが発生することから、この手法が穏和なアライン発生法として世界中で利用されています。今回私たちは、o-シリルアリールトリフラートに対して、クラウンエーテル存在下、炭酸セシウムを作用させた場合にも、室温でアラインが発生することを明らかにいたしました。しかも、このアライン発生法において、クラウンエーテルとカウンターカチオンの選択が発生効率に大きく影響し、とくに、炭酸セシウムを用いたときにはクラウンエーテルの空孔の大きさにあまり依存しないことがわかりました。o-シリルアリールトリフラートからアラインを発生させる際の新しい選択肢になると期待しています。


ご一読頂けると幸いです。(オープンアクセスですのでどこからでも読めます!)

http://dx.doi.org/10.3390/molecules200610131

我々の研究グループの論文が

Chemistry Letters に掲載されました!

オルト位にシリル基を有するアリールトリフラート類は、有用なアライン前駆体として世界中で利用されています。今回私たちは、o-シリルアリールトリフラートに対するC–Hホウ素化反応を経ることで、アライン前駆体の多様化に成功いたしました。本手法を利用して、アジド基を有するo-シリルアリールトリフラートなどの多様性に富んだアライン前駆体を高収率で合成できることを明らかにしました。o-シリルアリールトリフラートを用いる多彩な変換反応と組み合わせて利用することで、多様性に富んだ多置換ベンゼン類を簡便に合成する手法として有用です。


ご一読頂けると幸いです。

(オープンアクセスですので、どこからでもご覧になれます)

http://dx.doi.org/10.1246/cl.150535

“Facile Synthesis of Diverse Multisubstituted ortho-Silylaryl Triflates via C–H Borylation”

  1. S.Yoshida, K. Shimomori, T. Nonaka, T. Hosoya*, Chem. Lett. 2015, 44, 1324.

2015/8/13 公開

2015/7/4 公開


なお、本論文と同時期に、アライン前駆体のC–Hホウ素化を鍵とする類似の系が報告されました。

アライン中間体やホウ素化合物の特性を利用して、多様な芳香族化合物を簡便に合成できる有用な手法です

  1. E.Demory, K. Devaraj, A. Orthaber, P. J. Gates, L. T. Pilarski,* Angew. Chem., Int. Ed. 2015, 54, 11765.

http://dx.doi.org/10.1002/anie.201503152

我々の研究グループの論文が

Organic Letters に掲載されました!

v-セレンテラジン(v-CTZ)は長波長領域で生物発光する有用な分子ですが、その詳細な合成法は明らかにされていませんでした。今回私たちは、3度の連続するクロスカップリング反応と閉環メタセシスを鍵反応として、v-CTZ類の簡便合成法の開発に成功いたしました。本手法を利用して、安定性の向上した類縁体の合成にも成功しています。新たに開発した合成経路をもとに、多様性に富んだv-CTZ類縁体を簡便に合成できると期待されます


ご一読頂けると幸いです。

http://dx.doi.org/10.1021/acs.orglett.5b01872

“Concise Synthesis of v-Coelenterazines”

T. Hosoya*, R. Iimori, S. Yoshida, Y. Sumida, Y. Sahara-Miura, J.-i. Sato, S. Inouye, Org. Lett. 2015, 17, 3888–3891.

我々が執筆した Highlight Review が

Chemistry Letters に掲載されました!   New

アラインが有機合成に有用な合成中間体であることに着目して飛躍的な発展を遂げてきた近年のアライン化学に関して、Highlight Reviewとして概説しました。とくに、その前駆体の設計や活性化剤の開発などの「アライン発生法」に関する側面、置換基による反応性への影響や計算化学による予測といった「官能基化アライン」に関する側面、さらには、最近活発に研究されている、C–S結合形成やC–P結合形成を含む「アラインを経由する新しい変換法」に関する側面をそれぞれまとめました。


ご一読頂けると幸いです。(オープンアクセス予定)

http://dx.doi.org/10.1246/cl.150839

“ The Renaissance and Bright Future of Synthetic Aryne Chemistry ”

S. Yoshida, T. Hosoya*, Chem. Lett. 2015, in press.

我々の研究グループの論文が

Angewandte Chemie International Edition に掲載されました!

複雑な含フッ素化合物の合成に役立つ新手法が求められています。これに対して、今回私たちは、芳香族トリフルオロメチル基の3つの強固な炭素ーフッ素結合のうち、1つだけを選択的に変換できる新手法の開発に成功しました。具体的には、 求核剤存在下、オルト位にヒドロシリル基を有するベンゾトリフルオリドをトリチルカチオンで活性化すると、炭素ーフッ素結合の1つだけを効率よく変換できることを見いだしましたさらに、この反応によって形成されるフルオロシリル基は、塩基で容易に活性化できることから、檜山クロスカップリング反応などを経ることで多彩なジフルオロメチレン類を合成できることを明らかにしました。


ご一読頂けると幸いです。

http://dx.doi.org/10.1002/anie.201604776


Cover Pictureも公開されました。

http://dx.doi.org/10.1002/anie.201605487


プレスリリースされました。

http://www.tmd.ac.jp/press-release/index.html

http://www.tmd.ac.jp/archive-tmdu/kouhou/20160621_1.pdf


2016/6/22 の 化学工業日報で報道されました。

“Single C−F Bond Cleavage of Trifluoromethylarenes

  with an ortho-Silyl Group”

  1. S.Yoshida,* K. Shimomori, Y. Kim, T. Hosoya*,

Angew. Chem., Int. Ed. 2016, 55, 10406–10409.

Selected as Hot Paper & inside cover.

我々の研究グループの論文が

Chemical Communications に掲載されました!

ベンゾチアゾール類が示す生物活性に注目が集まっておりますが、多置換ベンゾチアゾール類の合成は容易ではありません。今回私たちは、最近開発したシリルメチルGrignard反応剤を活性化剤として用いるアライン発生法により、ortho-ヨードアリールトリフラート型の前駆体から「チアゾロベンザイン」(ベンゾチアゾール型のアライン)を効率よく発生できることを見いだしました。さらに、チアゾロベンザイン前駆体の脱プロトンを経ることで、多様なチアゾロベンザイン前駆体へと誘導できることも明らかにしました。アラインの多彩な変換反応と組み合わせて利用することで、多様性に富んだベンゾチアゾールライブラリーを簡便に構築できると期待されます。


ご一読頂けると幸いです。

http://dx.doi.org/10.1039/C6CC05112J

“Thiazolobenzyne: a versatile intermediate for multisubstituted benzothiazoles”

S. Yoshida, T. Yano, Y. Nishiyama, Y. Misawa, M. Kondo, T. Matsushita, K. Igawa, K. Tomooka, and T. Hosoya*, Chem. Commun. 2016, 52, 11199.

Selected as inside back cover

我々の研究グループの論文が Synthesis に掲載されました!

3-トリフリルオキシベンザインは、きわめて高い求電子性を示すアラインであるだけでなく、その変換によって多彩なアリールトリフラート類を効率よく得られることから有用な合成中間体です。今回私たちは、さまざまな置換基を有する3-トリフリルオキシアラインの発生とその変換に関して精査しました。検討の結果、ブロモ基などの電子求引基を有する場合にチア-Fries転位反応が起こってしまい、アラインの発生効率が低下してしまいましたが、この副反応を抑制できる新たな反応条件を見いだしました。さらに、この環化付加反応の後、トリフリルオキシ基とブロモ基を順に変換することで、四置換ナフタレンの簡便合成にも成功しました。


ご一読頂けると幸いです。

http://dx.doi.org/10.1055/s-0035-1562532

“Controlled Generation of 3-Triflyloxyarynes”

K. Uchida, S. Yoshida,* and T. Hosoya*, Synthesis 2016, 48, 4099.

我々の研究グループの論文が

Chemistry Letters に同時掲載されました!   New

アラインと「スルホキシイミン」との反応において、用いる基質によって反応経路が変わり、チオアミノ化体およびN-アリールスルホキシイミンが得られることを明らかにしました。すなわち、最近我々が見いだしたアラインのチオアミノ化反応が、ジアリールスルホキシイミンを用いた場合にも進行することを見いだしました。しかも、本反応の機構をDFT計算によって明らかにできました。一方、S上にアルキル基を有するスルホキシイミンを用いた場合には、N-アリール化反応が主に進行し、興味深い選択性が発現することがわかりました。本反応により、常法では合成の容易でない、多様性に富んだ含硫黄化合物を簡便に合成できることから、特徴的な化合物ライブラリーを構築できると期待されます。


ご一読頂けると幸いです。

(オープンアクセスですので、どこからでもご覧になれます)

http://dx.doi.org/10.1246/cl.160865

“Reactions of Arynes with Sulfoximines:

Formal Sulfinylamination vs N-Arylation”

  1. S.Yoshida,* H. Nakajima, K. Uchida, T. Yano, M. Kondo,

T. Matsushita, and T. Hosoya,* Chem. Lett. 2017, 46, 77.

なお、本研究と同時期に、アラインによるスルホキシイミンのアリール化反応に関して報告されました。

S. K. Aithagani, S. Dara, G. Munagala, H. Aruri, M. Yadav, S. Sharma, R. A. Vishwakarma, P. P. Singh, Org. Lett. 2015, 17, 5547

http://dx.doi.org/10.1021/acs.orglett.5b02804

我々の研究グループの論文が

Chemistry Letters に同時掲載されました!   New

多置換ベンゾ[b]チオフェン類を合成する場合に役立つ、「チエノベンザイン」の発生とその効率的変換に成功しました。近年の有機合成化学の発展によって、簡便に合成できるようになったヒドロキシベンゾチオフェン類から、ortho-ヨードアリールトリフラート型のアライン前駆体を短工程で合成でき、これを用いると、多様性に富んだ多置換ベンゾチオフェン類を効率よく合成できることを明らかにしました。本手法を用いて生物活性化合物の縮環型アナログも簡便合成できたことから、本研究で開発したチエノベンザインを経由することで、多彩な新規ベンゾチオフェンの合成が可能になりました。


ご一読頂けると幸いです。

(オープンアクセスですので、どこからでもご覧になれます)

http://dx.doi.org/10.1246/cl.160901

“Facile Diversification of Simple Benzo[b]thiophenes via Thienobenzyne Intermediates”

  1. T.Morita, S. Yoshida,* M. Kondo, T. Matsushita,

and T. Hosoya,* Chem. Lett. 2017, 46, 81.

我々の研究グループの論文が

Chemistry Letters に掲載されました!   New

π 拡張型ジベンゾフラン類を含む、多置換ベンゾ[b]フラン合成に役立つ「フラノベンザイン」の発生・効率的変換に成功しました。チエノベンザインに関する研究で得られた知見を活かし、合成容易な多置換ヒドロキシベンゾフラン類からortho-ヨードアリールトリフラート型のアライン前駆体を短工程で合成でき、これを用いて多様性に富んだ多置換ベンゾフラン類を効率よく合成できることを明らかにしました。本手法により、多彩な縮環構造によってπ 共役系を拡張した新規ベンゾフラン類を簡便に合成できます。


ご一読頂けると幸いです。

(オープンアクセスですので、どこからでもご覧になれます)

http://dx.doi.org/10.1246/cl.160951

優秀論文に選ばれました!

Editor’s Choice

http://www.journal.csj.jp/topic/editors-choice

我々の研究グループの論文が

Organic Letters に掲載されました!   New

多置換アニリン類の合成に役立つ「3-アミノアライン前駆体」の簡便合成法を新たに開発し、これを用いて、3-アミノアラインの発生・変換に成功しました。具体的には、最近私たちが開発しました3-トリフリルオキシアラインを中間体として利用し、アミノシリル化によって3-アミノアライン前駆体を効率よく合成でき、さらに、得られたo-シリルアリールトリフラートから3-アミノアラインを経て変換することで、多様性に富んだアニリン類を簡便合成できる、という「アラインリレー」を経る新手法を開発できました。本手法により、多彩な縮環構造を有するアニリン類を効率的に合成できます。しかも、この手法によって短工程で合成できた5-アミノクマリン類が、比較的小さな蛍光基であるにも関わらず、大きなストークスシフトを示し、長波長で蛍光発光することも明らかにできました。


ご一読頂けると幸いです。

http://dx.doi.org/10.1021/acs.orglett.6b03304

橙色

in MeOH

Synfact で紹介されました!

Synthesis of 3-Aminoaryne Precursors

http://dx.doi.org/10.1055/s-0036-1589938

我々の研究グループの論文が

Chemistry Letters に掲載されました!   New

芳香族アジドをアニリン類へと簡便に変換できる手法の確立に成功しました。一般的には、トリフェニルホスフィンと芳香族アジドとのStaudinger反応を経るアニリン合成では加水分解が遅く、これが合成化学者を困らせてきました。そのため、これまでは各論的にその課題が解決されてきました。これに対して、今回我々は、取り扱いのよういなホスホニウム塩を用いて、芳香族アジド基選択的に効率よく還元できる手法の確立に成功いたしました。本手法を利用することで、2種のアジド基を併せ持ったジアジドを用いた場合も、脂肪族アジド基を残存させたまま、芳香族アジド基を対応するアニリンへと効率よく変換できることを明らかにいたしました。本研究で見いだした知見は、アジド基を有するアニリン合成においてきわめて有用であるだけでなく、現在細谷研で研究中のリン化学・アジド化学の礎としてきわめて重要です。


ご一読頂けると幸いです。

(オープンアクセスですので、どこからでもご覧になれます)

http://dx.doi.org/10.1246/cl.161159

我々の研究グループの論文が

Organic Letters に掲載されました!   New

炭素ー炭素結合開裂を経るアライン発生を鍵とする、三成分連結反応の開発に成功しました!以前に報告した3-(トリフリルオキシ)アラインを利用した合成化学に関する研究を展開する中、ベンゾシクロブテノン、有機リチウム反応剤、フランなどのアライノフィル(アラインとの反応相手)が効率よく反応し、α-アリールケトン類が高収率で得られることを明らかにしました。さらに、反応機構の検証に関する実験結果を踏まえ、シリルアセタールにフッ化物イオンを作用させることでも対応するアラインが発生し、α-アリール酢酸エステル類も得られました。本手法で合成できる化合物群は、複素芳香族化合物の中間体として重要であることから、本手法が医薬品開発等に役立つと期待しています。


ご一読頂けると幸いです。

http://dx.doi.org/10.1021/acs.orglett.7b00242


プレスリリースされました。

http://www.tmd.ac.jp/archive-tmdu/kouhou/20170224.pdf


科学新聞(2017年3月10日号)で採り上げられました!

Academist Journal に研究コラムが掲載されました!

有機合成化学で新しい変換を発見する瞬間

– 短寿命の合成中間体「アライン」の新しい発生法

https://academist-cf.com/journal/?p=3995

Chem-Station のスポットライトリサーチで

内田くんのコメントが紹介されました!

アライン種の新しい発生法

http://www.chem-station.com/blog/2017/04/aryne.html

我々の研究グループの論文が

Chemistry Letters に掲載されました!   New

シリルメチルGrignard反応剤を活性化剤とすることで、フルオロ基も含む、ハロゲン原子を配置したアラインも、o-ヨードアリールトリフラート型の前駆体から発生させることができました。本手法を利用することで、多様性に富んだハロゲン化アリールを合成できます。しかも、各種アラインの反応性を精査する中、3-フルオロアライン、テトラヒドロフラン、チオールが一挙に連結する特異な反応も見いだしました。この結果から、3-フルオロアラインのきわめて高い求電子性を明らかにできました。また、本研究の中で、o-ヨードアリールトリフラートから発生させたアラインの変換、o-シリルアリールトリフラートから発生させたアラインの変換を順に行うアラインリレーによって、複雑な芳香族化合物の簡便合成にも成功しました。o-ヨードアリールトリフラートが、o-シリルアリールトリフラートと比べて合成の容易なアライン前駆体であることから、本手法がアラインの発生を経るハロゲン化アリール合成法として役立つと期待しています。


ご一読頂けると幸いです。

(オープンアクセスですので、どこからでもご覧になれます)

http://dx.doi.org/10.1246/cl.170136

我々の研究グループの論文が

Chemistry Letters に掲載されました!   New

多彩なフタリド類を、o-ヨード安息香酸エステル類とケトンとの分子間反応と分子内環化によって簡便合成できる手法の開発に成功しました。この反応においてもシリルメチルGrignard反応剤が優れた活性化剤として働き、ケトン、エステルといった求電子的な部位を損なうことなく、ヨウ素ーマグネシウム交換反応が優先して進行することがわかりました。さらに、ヨウ素ーマグネシウム交換反応におけるオルト位のエステル部位による促進効果も明らかにできました。本反応の応用として、フェノールフタレイン類の迅速合成にも成功しました。本研究によって得られた知見は、これまでに明らかにしてきた、シリルメチルGrignard反応剤を用いてo-ヨードアリールトリフラートからアラインを発生させる手法に関する理解を深めるだけでなく、生物活性化合物などとして重要なフタリド類の簡便合成法としても有用であると期待されます。


ご一読頂けると幸いです。

(オープンアクセスですので、どこからでもご覧になれます)

http://dx.doi.org/10.1246/cl.170211

我々の研究グループの論文が

Chemistry Communications に掲載されました!  

プローブ分子などの、複数の機能性部位を併せ持った化合物を合成する際、それぞれの機能性部位を連結した候補化合物の中から所望の機能を有する分子が開発されます。しかし、こういった多機能性分子の合成は一般に容易ではありません。これに対して、我々は、3種のアジド基を区別して、順にトリアゾール形成反応に用いる手法の開発に成功し、3種の機能性部位を有する化合物を収束的に合成できることを明らかにしました。具体的には、かさ高い芳香族アジド基が環状アルキンなどとの協奏的反応で、通常の芳香族アジド基が塩基を触媒とする反応で、脂肪族アジド基がルテニウム触媒を用いる反応で、それぞれ高選択的にトリアゾール環を形成できることを見いだしました。さらに、本手法を利用することで、トリアジドプラットフォームに3種の機能性部位を集積することで、タンパク質を二重標識できるプローブ分子の開発にも成功しました。今後、本手法によって多彩な多機能性分子を開発できると期待されます。


ご一読頂けると幸いです。

(オープンアクセスですので、どこからでもご覧になれます)

プレスリリースされました。

“Convergent synthesis of trifunctional molecules by three sequential azido-type-selective cycloadditions”

S. Yoshida, K. Kanno, I. Kii, Y. Misawa, M. Hagiwara, and T. Hosoya*

Chem. Commun. 2018, 54, 3705.

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有機化学に関するブログ

「たゆたえども沈まず –有機化学あれこれ–」

で紹介されました!

アジドを自在に区別して色々とくっつけた話

我々の研究グループの論文が
Chemistry Letters 誌に掲載されました!

銅触媒とチオスルホナートを用いるボロン酸エステル類のチオ化反応に関して、改良版の開発に成功しました。以前に、銅触媒あるいはロジウム触媒存在下、チオスルホナート類を硫黄源として用いることで、悪臭を伴うことなくアリールボロン酸類をチオ化する手法を開発いたしました(Cu: CC2015; Rh: CC2017)。ただ、検討を続けていく中、電子豊富なアリールボロン酸ピナコールエステルを用いた場合には低収率でしかスルフィドが得られないこともわかりました。これに対して、今回我々は、銅触媒を用いたチオ化の反応条件を再度詳細に検討し、様々なアリールボロン酸ピナコールエステルを用いた場合も高収率でスルフィドを合成できる改良条件の確立に成功しました。具体的には、触媒量の硫酸銅・TMEDAと、フッ化セシウム存在下、メタノール中でアリールボロン酸ピナコールエステルとチオスルホナートを50 ℃に加熱すると、スルフィドを効率よく合成できることを明らかにしました。本手法と、C–H結合などのボリル化反応とを組み合わせることで、幅広いスルフィド類を簡便合成できます。

ご一読頂けると幸いです。

(オープンアクセスですので、どこからでもご覧になれます)

http://dx.doi.org/10.1246/cl.170907

我々の研究グループの論文が

Organic Letters に掲載されました! 

アラインとスルホキシドとの反応により、複雑な構造のジアリールエーテル類を簡便に合成できることを明らかにしました。具体的には、アラインがジアリールスルホキシド類と効率よく反応し、アラインとのC–O結合およびC–S結合形成と、硫黄から酸素への転位によるO‐アリール化が一挙に進行することを明らかにしました。この反応において、スルホキシド類も簡便合成できるため、シンプルな3種類の芳香族化合物を出発原料として複雑な構造のジアリールエーテル類を簡便に合成できることから、新しい医農薬品や有機材料開発などに役立つことが期待されます。実際に、私たちは、従来法では合成の難しい、ヘテロ環の縮環したジアリールエーテルをはじめとする多彩なジアリールエーテル類の効率的合成にも成功しました。


ご一読頂けると幸いです。


プレスリリースされました。

http://www.tmd.ac.jp/press-release/index.html

http://www.tmd.ac.jp/archive-tmdu/kouhou/20171011_1.pdf


日経産業新聞(2017年10月13日)に掲載されました!

我々の研究グループの論文が

Chemistry – A European Journal に掲載されました! 

アラインとアリールアセチレン部位、さらには、アラインと1,3-ジイン部位の分子内での環化付加を経る、高度に縮環した芳香族化合物の新規合成法の開発に成功しました。具体的には、アリールプロパルギルエーテル部位を配置したo-ヨードアリールトリフラートに対して、シリルメチルGrignard反応剤を作用させると、高度に歪んだ環形成であるにも関わらず、四環式のフェナントレン類縁体が高収率で得られることを明らかにいたしました。さらに、1,3-ジイン部位を配置した場合にも生じたアラインとの分子内反応で同様の環化付加が進行し、高度に縮環したアラインが新たに生じることを見いだしました。しかも、新たに生じた縮環型アラインはフランとの環化付加反応が進行するだけでなく、N,N-ジメチルアニリンとの反応の場合には、アミノアリール化が進行することも明らかにできた。原料のエーテル類は光延反応を経て簡便合成できることから、従来法では困難な縮環型化合物で構成される化合物ライブラリーも容易に構築できます。


ご一読頂けると幸いです。

http://dx.doi.org/10.1002/chem.201704345

“Construction of Condensed Polycyclic Aromatic Frameworks through Intramolecular Cycloaddition Reactions Involving Arynes Bearing an Internal Alkyne Moiety”

  1. S.Yoshida,* K. Shimizu, K. Uchida, Y. Hazama, K. Igawa,

K. Tomooka, and T. Hosoya*

Chem. Eur. J. 2017, 23, 15332.

我々の研究グループの論文が

Chemical Communications に掲載されました! 

ロジウム触媒とチオスルホナートを用いる、アリールボロン酸類のチオ化反応の開発に成功しました。以前に報告した、銅触媒を用いる無臭チオ化反応(Chem. Commun. 2015, 51, 16613.)の適用範囲を調べる中、2-チエニルボロン酸のチオ化において、対応するスルフィドを低収率でしか合成できないという問題点に直面しました。これに対して、ロジウム触媒を用いるチオ化反応を見いだし、ヘテロ芳香族化合物を中心に、適用範囲の拡大に成功しました。本触媒系においても、チオールの副生などに由来する悪臭を伴うことなく、スルフィド類を効率よく合成できます。さらに、アリールボロン酸類とチオスルホナート類の合成が容易であることから、たとえば、インドールと2-メチルチオフェンを出発原料として、それぞれのC–H結合の官能基化を経て、対応するジアリールスルフィドの迅速合成にも成功しました。本手法は、ヘテロ環を複数含むような、多彩なスルフィド類の簡便合成などに役立つと期待できます。


ご一読頂けると幸いです。

(オープンアクセスですので、どこからでもご覧になれます)

http://dx.doi.org/10.1039/C7CC05868C

“Rhodium-catalyzed odorless synthesis of diaryl sulfides from borylarenes and S-aryl thiosulfonates”

K. Kanemoto, Y. Sugimura, S. Shimizu, S. Yoshida,* and T. Hosoya*

Chem. Commun. 2017, 53, 10640.

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我々の研究グループの論文が

Organic Letters に掲載されました! 

ホスホン酸ジチオエステル類を用いることで、リン上での逐次置換反応を高効率で実現でき、3つの置換基がそれぞれ異なるホスフィンオキシド類の簡便合成に成功しました。このとき、水、空気、シリカゲルなどに安定な「ホスホン酸ジチオエステル」が、求電子剤として、Grignard反応において適度な反応性を示すことを見いだしました。しかも、2種のGrignard反応剤を順に用い、3つの異なる置換基を有するホスフィンオキシド類を効率的に合成できることを明らかにしました。この手法により、シンプルな3種の原料から、多様性に富んだ有機リン化合物を簡便に合成できます。そのため、新しい医薬品や遷移金属触媒の配位子開発などに役立つと期待されます。


ご一読頂けると幸いです。

http://dx.doi.org/10.1021/acs.orglett.7b01796


プレスリリースされました。

http://www.tmd.ac.jp/press-release/index.html

http://www.tmd.ac.jp/archive-tmdu/kouhou/20170714_1.pdf

Synfact で紹介されました!

Synthesis of Unsymmetrical Tertiary Phosphine Oxides

http://dx.doi.org/10.1055/s-0036-1591267

我々の研究グループの論文が

Chemistry Letters に掲載されました!   New

チオフェン-S,S-ジオキシドの反応性を利用した分子連結法の開発に成功しました。具体的には、チオフェンジオキシドが、環状アルキンの一種であるビシクロノニン(BCN)と室温でも速やかに反応することを見いだすとともに、チオフェンジオキシドの構造と反応性の相関を明らかにしました。さらに、アミノ基を導入したチオフェンジオキシドが、 テトラクロロチオフェンジオキシドから一工程で合成できることを見いだし、これもBCNと効率よく反応することを明らかにできました。この知見をもとに、銅触媒を用いるアジドとアルキンとの環化付加反応や、ホスフィンを用いるStaudinger–Bertozziライゲーションとも組み合わせた連続連結にも成功しております。これらの結果から、チオフェン-S,S-ジオキシドがプローブ合成などに有用な連結部位であると期待されます。


ご一読頂けると幸いです。

(オープンアクセスですので、どこからでもご覧になれます)

http://dx.doi.org/10.1246/cl.170426

優秀論文に選ばれました!

Editor’s Choice

http://www.journal.csj.jp/topic/editors-choice

我々の研究グループの論文が

Chemistry Letters に掲載されました!  

2つのベンゼン環を硫黄・窒素原子で架橋したフェノチアジン類は、創薬科学や材料化学において重要な化合物群です。しかし、原料となるオルト位にアミノ基やハロゲノ基を有するベンゼンチオール類の合成などが容易でないことから、多彩な置換基を有するフェノチアジン合成は困難です。これに対して、我々は、最近報告したアラインのチオアミノ化反応アリールボロン酸のチオ化反応を基盤にフェノチアジン類の簡便合成法の開発に成功しました。具体的には、まず、アリールボロン酸類のメチルチオ化を経て、ブロモ基をオルト位に有する幅広いスルフィルイミンを合成できることを明らかにしました。次に、反応条件の最適化を経て、アラインとスルフィルイミンとの反応が広範な基質で進行し、引き続く、分子内でのBuchwald–Hartwigアミノ化反応により多彩なフェノチアジン類の合成に成功しました。今後、本手法が生物活性フェノチアジン類の構造活性相関研究などに役立つと期待されます。


ご一読頂けると幸いです。

(オープンアクセスですので、どこからでもご覧になれます)


https://doi.org/10.1246/cl.180304

我々の研究グループの論文が

Chemistry Communications に掲載されました!  

混合するだけで2分子を速やかに連結できる手法が、生命科学分野や材料化学分野といった幅広い分野で今なお強く求められています。こういった手法として、エステル部位をオルト位に有するトリアリールホスフィン類とアジドとの反応が、混合するだけで強固なアミド結合を形成できることから先駆的な例ではありますが、反応速度に難点があることからアジドとアルキンとのトリアゾール形成反応が台頭するようになってきました。これに対して、最近報告したStaudinger反応に関する再検討Chem. Lett. 2017, 46, 473)で得られた知見をもとに、今回我々は、2,6-ジクロロフェニルアジドとトリアリールホスフィンとの反応が有用な生体分子の化学修飾法になることを見いだしました。すなわち、アジドとシクロオクチンとの反応を上回る速度でこの反応が進行し、しかも、生成するアザイリドがきわめて安定であることを明らかにしました。さらに、本手法により、実際にタンパク質の化学修飾が効率よく進行し、とくに、細胞膜の蛍光標識だけでなく、細胞内での核膜の標識にも成功いたしました。今後、本手法が生体分子の化学修飾法として役立つと期待されます。[本研究は 理研RCH 喜井チーム との共同研究です!]


ご一読頂けると幸いです。

(オープンアクセスですので、どこからでもご覧になれます)


https://doi.org/10.1039/C8CC00179K



プレスリリースされました。

http://www.tmd.ac.jp/press-release/index.html

http://www.tmd.ac.jp/archive-tmdu/kouhou/20180522_1.pdf


“Staudinger reaction using 2,6-dichlorophenyl azide derivatives for robust aza-ylide formation applicable to bioconjugation in living cells”

T. Meguro, N. Terashima, H. Ito, Y. Koike, I. Kii, S. Yoshida,* and T. Hosoya*

Chem. Commun. 2018, 54, 7904.

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我々の研究グループの論文が

RSC Advances に掲載されました!  

ベンゾ[b]チオフェン類は医薬品や有機材料開発などにおいて重要な化合物群ですが、多置換ベンゾチオフェン類の合成は決して容易ではありません。これに対して、最近報告したo-ヨードアリールトリフラート型の前駆体を利用したチエノベンザイン発生法の開発Chem. Lett. 2017, 46, 81)において得られた知見をもとに、今回我々は、o-シリルアリールトリフラート型のチエノベンザイン前駆体の開発に成功しました。具体的には、今回開発した前駆体から、フッ化物イオンなどのさまざまな活性化剤を用いてチエノベンザインを穏やかな条件下で発生させられることを明らかにし、最近我々が開発したチオアミノ化反応やオキシチオ化反応などにも利用できました。さらに、チエノベンザインの変換を経て新たなEP4アンタゴニストを合成でき、高い活性を示す類縁体の開発に成功いたしました。[本研究は 京大院医 小林拓也准教授の研究グループ との共同研究です!]


ご一読頂けると幸いです。

(オープンアクセスですので、どこからでもご覧になれます)


https://doi.org/10.1039/C8RA04035D

“Expanding the synthesizable multisubstituted benzo[b]thiophenes via 6,7-thienobenzynes generated from o-silylaryl triflate-type precursors”

S. Yoshida,* T. Kuribara,  T. Morita,  T. Matsuzawa,  K. Morimoto,  T. Kobayashi, and T. Hosoya*

RSC Adv. 2018, 8, 21754.

我々の研究グループの論文が

Organic Letters に掲載されました! 

アジドは、アミンなどの等価体として合成化学的に有用であることに加え、クリックケミストリーの台頭によって生命科学や材料科学などの広範な分野で重要な役割を果たしている化合物群です。今回我々は、最近報告したStaudinger反応に関する再検討Chem. Lett. 2017, 46, 473)で得られた知見をもとに、 アジド基の保護法の開発に成功しました。具体的には、適度なかさ高さと電子豊富さが特徴のホスフィンのAmphosをアジドに加えると、速やかに安定なホスファジドを生じ、シクロオクチンとのクリック反応などに安定であることを明らかにしました。さらに、単体硫黄を加えるだけで、室温で効率的にアジドを再生できることも見いだしました。本手法を利用することで、ジアジドにおける芳香族アジド選択的保護にも成功し、これを繰り返すことでデンドロン構造を効率的に構築できることも明らかにしました。


ご一読頂けると幸いです。


https://doi.org/10.1021/acs.orglett.8b01692


プレスリリースされました。

http://www.tmd.ac.jp/press-release/index.html

http://www.tmd.ac.jp/archive-tmdu/kouhou/20180619_1.pdf


日経産業新聞(2018年6月26日)に掲載されました!

“Transient Protection of Organic Azides from Click Reactions with Alkynes by Phosphazide Formation”

T. Meguro, S. Yoshida,* K. Igawa, K. Tomooka, and T. Hosoya*

Org. Lett. 2018, 20, 4126.

有機化学に関するブログ

「たゆたえども沈まず –有機化学あれこれ–」で紹介されました!

2018年論文オブザイヤーを選んでみた」

あらため「2018年論文を振り返ってみた」

http://orgchemical.seesaa.net/article/463139924.html

我々の研究グループの論文が

Chemistry Letters に掲載されました!  

アラインは、多置換のベンゼン類を合成するのに有用な中間体です。アラインは不安定であるため、前駆体から系中発生させて利用させる必要があり、今までに多くのアライン発生法が開発されてきました。しかし、どのアライン発生法も、長所や短所があり、前駆体の合成の容易さや発生効率などにそれぞれ特徴があるため、より多くのアライン発生法の開発が望まれています。これに対して、今回我々は、炭素–リン結合の選択的な切断を利用した新たなアライン発生法の開発に成功しました。具体的には、リン上の置換基として電子不足なアリール基を利用することで、リン原子上での求核置換反応が効率的に進行し、望みの炭素–リン結合を選択的に切断しながらアラインを発生させる手法を確立いたしました。さまざまなアライン前駆体を簡便に合成できることが本手法の特徴で、通常ではその前駆体が合成しにくいと考えられる2置換アラインや3環式アラインなどを発生させて利用できることを明らかにしました。


ご一読頂けると幸いです。

(オープンアクセスですので、どこからでもご覧になれます)


https://doi.org/10.1246/cl.180555

我々の研究グループの論文が

Chemistry Communications に掲載されました!  

アジドと環状アルキン類とのクリック (Strain-Promoted Azide–Alkyne Cycloaddition: SPAAC) 反応は、混合するだけで2分子を速やかに連結できるため、生命科学分野や材料化学分野といった幅広い分野で重要な役割を担っています。最近我々は、2,6-ジイソプロピルフェニルアジドが、環状アルキンに対してきわめて高いクリック反応性を示すことを見いだしました。今回我々は、パラ位にアミノ基を導入することで、2,6-ジイソプロピルフェニルアジドの環状アルキンに対するクリック反応性が著しく向上することを見いだしました。本反応を利用することでジアジドを用いてかさ高い芳香族アジド基選択的反応が高選択的に進行することも明らかにしました。今後、本研究で開発したアジドが生体分子の化学修飾などに役立つと期待しています。


ご一読頂けると幸いです。

(オープンアクセスですので、どこからでもご覧になれます)


https://doi.org/10.1039/C8CC05791E


“Further enhancement of the clickability of doubly sterically-hindered aryl azides by para-amino substitution”

S. Yoshida,  J. Tanaka,  Y. Nishiyama, Y. Hazama, T. Matsushita, and  T. Hosoya*

Chem. Commun. 2018, 54, 13499–13502.

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アラインの変換に関する総説が Tetrahedron Letters に掲載されました!

有機硫黄化合物は創薬科学・材料科学といった幅広い分野で重要な役割を果たしている化合物群です。しかし、複雑な有機硫黄化合物を合成しようと思った場合に、その手法は未だ限定的であることから、有機硫黄化合物の簡便合成法の開発が今なお強く望まれています。これに対して、最近さまざまな有機硫黄化合物がアラインと反応し、従来法では合成困難な有機硫黄化合物を与えることが明らかにされてきました。本総説 (digest paper)では酸化度の異なる多彩な有機硫黄化合物のアラインに対する反応性を系統的にまとめました私たちの開発した合成反応も含め、多彩な含硫黄化合物合成に役立つアライン化学を紹介しています。


ご一読頂けると幸いです。


https://doi.org/10.1016/j.tetlet.2018.10.031


“Recent advances in reactions between arynes and organosulfur compounds”

T. Matsuzawa, S. Yoshida,* and  T. Hosoya*

Tetrahedron Lett. 2018, 59, 4197–4208.



私たちの研究成果に関する2種類の試薬が東京化成工業から販売開始されました!   New



2-ヨード-1,3-ビス(トリフリルオキシ)ベンゼン 

CAS No. 514826-78-9 製品番号  I1102

シリルメチルGrignard反応剤を
ジエチルエーテル中で加えると、
3-トリフリルオキシベンザインが
発生し多彩な変換を行えます。
とくに、複雑な置換形式の
アリールトリフラートや
トリフロン類の合成に有用です。

“ An efficient generation method and remarkable reactivities of 3-triflyloxybenzyne ”

S. Yoshida, K. Uchida, K. Igawa, K. Tomooka, and T. Hosoya*

Chem. Commun. 2014, 50,  15059.

“ Controlled Generation of 3-Triflyloxyarynes ”

K. Uchida, S. Yoshida,* and T. Hosoya*

Synthesis 2016, 48, 4099.

3-モルホリノ-2-(トリメチルシリル)フェニルトリフラート 

CAS No. 2047348-50-3 製品番号  M3222

フッ化物イオンを作用させると、
3-モルホリノベンザインが発生し
多彩な変換を行えます。
とくに、5-位にモルホリノ基を有する
クマリン類をはじめ、多様性に富んだ
1,2,3-三置換ベンゼン型の
N-アリールモルホリンの合成に役立ちます。

“ Aryne Relay Chemistry en Route to Aminoarenes: Synthesis of 3-Aminoaryne Precursors via Regioselective Silylamination of 3-(Triflyloxy)arynes ”

S. Yoshida,* Y. Nakamura, K. Uchida, Y. Hazama, and T. Hosoya*

Org. Lett. 2016, 18, 6212.

我々の研究グループの論文が

Heterocycles に掲載されました!   New

3-アジド-5-(アジドメチル)ベンゼン類は、さまざまなビストリアゾール類や、生物活性化合物の標的同定のための光親和性標識プローブの合成に有用な化合物群です。今回我々は、以前の速報(Eur. J. Org. Chem. 2014, 3991)をもとに、ジアジド化合物に関連する合成化学について精査しました。その結果、形式的なC–Hアジド化反応を経ることで、変換可能な置換基を有する多彩なジアジド化合物の簡便合成法を確立できました。さらに、合成したジアジド化合物を用いて、種々の変換反応がアジド基を損なうことなく進行することを明らかにしました。今回開発した手法は、ビストリアゾール化合物から成るライブラリーの構築やジアジドプローブの創製に役立つ有用な手法として期待しています。


ご一読頂けると幸いです。


https://doi.org/10.3987/COM-18-S(F)72

“Synthesis of Diverse 3-Azido-5-(azidomethyl)benzene Derivatives via Formal C–H Azidation and Functional Group-Selective Transformations”

Y. Nishiyama, Y. Misawa, Y. Hazama, K. Oya, S. Yoshida,* and  T. Hosoya*

Heterocycles, in press.



我々の研究グループの論文が

Chemistry Communications に掲載されました!   New

シクロオクチン類は、アジドと混合するだけで効率的に反応することから、生命科学、材料化学といった幅広い分野で重宝されています。しかし、機能性シクロオクチンの合成には、通常、求核剤と求電子剤との古典的な反応に頼っているのが現状です。これに対して、今回我々は、シクロオクチン−環状アルキン錯体を経る末端アルキン選択的クリック反応により、さまざまな機能性アジドから機能性環状アルキンを簡便合成できることを明らかにしました。本反応を利用することでアジド基を導入した抗体における選択的変換にも成功しました。今後、本手法が生体分子の化学修飾や多機能性プローブ合成などに役立つと期待しています。

[本研究は 理研RCH 喜井チーム との共同研究です!]


ご一読頂けると幸いです。

(オープンアクセスですので、どこからでもご覧になれます)


https://doi.org/10.1039/C9CC01113G


プレスリリースされました。

http://www.tmd.ac.jp/press-release/index.html

http://www.tmd.ac.jp/archive-tmdu/kouhou/20190307_1.pdf


化学工業日報(2019年3月14日)に掲載されました!


“A facile preparation of functional cycloalkynes by an azide-to-cycloalkyne switching approach”

S. Yoshida,* T. Kuribara, H. Ito, T. Meguro, Y. Nishiyama, F. Karaki, Y. Hatakeyama, Y. Koike, I. Kii, and T. Hosoya*

Chem. Commun. 2019, 55, 3556–3559.


我々の研究グループの論文が

Chemistry Letters に掲載されました!   New

アントラセン類をはじめとする、複数の環が縮環した芳香族化合物は、創薬科学や材料化学において注目されている化合物群です。今回、我々は、オキサジアジノンをプラットフォームとして用いて、環状アルキンおよびアラインとの2度の反応を制御して行うモジュラー合成法の開発に成功しました。具体的には、オキサジアジノンがシクロヘキシンやシクロオクチンなどの環状アルキンと効率よく反応することを明らかにしました。次に、生じたピロンがアラインと効率よく反応し、2つの環と縮環したベンゼン類を合成することに成功しました。さらに、本手法によって一部が飽和になったアントラセン類縁体をモジュラー合成できることも明らかになりました。今後、従来法では合成の容易ではないアントラセン類縁体を、本手法によって系統的に合成できることから、アントラセン類を用いる合成化学の発展に役立つと期待されます。


ご一読頂けると幸いです。

(オープンアクセスですので、どこからでもご覧になれます)


https://doi.org/10.1246/cl.190118



我々の研究とう同時期にGargらのグループからも類似の成果が報告されました。

E. R. Darzi, J. S. Barber, N. K. Garg, Angew. Chem., Int. Ed. 2019, in press.

我々の研究グループの論文が

Organic Letters に掲載されました!   New

アルキニルスルフィド類は、その特異な反応性から注目を集めている有用な化合物群です。ただ、その合成法は未だに限定的で、末端アルキンを用いる実用的なC–S結合形成反応の開発が望まれています。今回、我々は、チオスルホナートを硫黄源として用いて、末端アルキンを用いる触媒的なアルキニルスルフィド合成法の開発に成功しました。具体的には、炭酸カリウム存在下、末端アルキンとチオスルホナートのDMSO溶液に対して、触媒量の銅塩とXantphosを室温で作用させると、C–S結合形成が効率よく進行することを見いだしました。エステルやアセタール部位、ブロモ基、ヒドロキシ基、アミノ基といった多彩な官能基があっても本反応が進行することを明らかにできました。さらに、本手法とヨード環化反応を組み合わせて利用することで、多彩なベンゾヘテロール類の簡便合成にも成功しました。今後、アルキニルスルフィドを経た合成化学の発展などが期待されます。


ご一読頂けると幸いです。


https://doi.org/10.1021/acs.orglett.9b00875

プレスリリースされました。

http://www.tmd.ac.jp/press-release/index.html

http://www.tmd.ac.jp/archive-tmdu/kouhou/20190423_1.pdf


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