研究内容

その四

超高反応性化学種“ベンザイン”を利用する有機合成化学

 

0.はじめに: ベンザイン化学への取り組み

 私たちは、ベンゼン環の一部が三重結合になった「ベンザイン(アライン)」に心惹かれて、研究に取り組んでいます。 ベンザインは単離困難な高反応性化学種であることから、どういった条件でベンザインを発生させるか、が目的の変換の成否を分けます。 これに対して、私たちは、(A) 新しい前駆体・発生法の開発から、(B) 置換基や縮環によるベンザインの反応性への影響、 (C) ベンザイン中間体を活用した新規合成反応、新たな反応相手との新しい分子変換、といったベンザイン化学の各局面に関して一貫して研究しています。 加えて、ベンザインそのものは分子模型を組めない、歪(ひず)んだ化学種ですが、計算化学も併せて利用し、反応性の予測・実験結果の解釈に役立てています。

 具体的には、以下のような研究背景のもと研究に取り組んでいます。

2−1.有機合成に役立つ、ベンザインの新しい前駆体

 実際、これまでに、以下の項目で紹介するような手法の開発に成功しました。

2−2.さまざまな置換基を3位に有するベンザインの反応性

2−3.ベンザインの反応性を利用した含リン化合物・含硫黄化合物の合成

(以下、近日公開予定)